国宝三井寺 光浄院 夜間特別拝観「春燈」


襖絵の金箔と翳りのコントラストの競艶

-春の夜、国宝三井寺 光浄院に観る陰翳の美-
この度、国宝 三井寺 光浄院で、本邦初となる「灯のインスタレーション」の演出をさせていただきます。タイトルは「春燈」。桜寺と称される三井寺の春の夜、井浦新の演出による幽玄の美をお楽しみください。

【期間】4月2日~4月13日(18時30分~21時)
【料金】三井寺拝観料500円/光浄院特別拝観料300円)

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国宝の光浄院に座し、狩野山楽の障壁画を拝したとき、薄暗い空間の中、金箔は金と見えず、幾間を隔てた遠い庭の明かりの穂先を捉えて、ぼうっと夢のように照り返していた。昔の人々にとって贅沢は「空間」であり、その「空間」をしつらえるための素材が<金>だったのではないかと感じます。仏像などにも金を貼り付けることで、闇に浮かぶその姿に神々しさを感じたのでしょう。容易に明るさを手にすることが可能になった私たちは、このような「光の戯れ」を目にする機会は本当に少なくなってしまいました。揺らめく蝋燭の灯を友とするように、日本の文化は「闇と光」とが作り出す陰翳のゆらめきにあるように想うのです。翳は影ではなく「かげりうつろひ」。光と影が紡ぎだす陰翳のゆらめき、「灯の戯れ」に生れる日本の美を春の夜に感じていただきながら、日本古来の美意識を再認識する契機になることを願います。

2014年4月吉日
井浦 新

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三井寺 夜桜

光浄院 外観
三井寺 光浄院